沖縄の島々の形成、岩石標本と石の文化を紹介
沖縄石の文化博物館
当館について
ダイナミックなカルスト地形が広がる「大石林山」の入口にある、「沖縄の石」をテーマにした地質・民俗系の博物館です。離島を含め県内すべての市町村から岩石標本を集めました。昔懐かしい石製の民具なども多数展示しています。展示品は自由に手で触れて感触を確かめることができます。
展示案内
沖縄本島中南部や離島の石灰岩に覆われた土地では大きな木があまり採れないため、生活に必要な道具を石で作る技術が発達しました。民具エリアでは家畜のえさ箱や水がめ、洗濯のタライなど石製の生活用品のほか、力石(ちからいし)や石敢當(いしがんとう)など沖縄の石の文化にも触れることができます。 岩石標本エリアでは沖縄県内41市町村から集めた標本を年代別に並べています。壁にはその時代に対応する解説パネルを設置し、歴史を辿(たど)りながら沖縄の成り立ちを学習いただけます。
巨大なサンゴ塊を利用して造った花鉢
サンゴや石灰藻などの断片からなる砕屑性(さいせつせい)石灰岩
日本地質学会が選定した「沖縄県の石」のひとつ、港川人骨化石 ※レプリカ
こちらも「沖縄県の石」、海鳥類の糞などに由来する網目状になったリン鉱石
ニービと呼ばれる細粒砂岩、新鮮な部分はにぶいろ
おもしろい石たちも展示。アヒルの親子に見えますか?
沖縄と大石林山の成り立ち
海洋プレートが大陸プレートに沈み込むとき、砂岩・泥岩・チャート・石灰岩など海洋プレートの上に載っている軽い岩石は地下に沈まずに大陸プレートの端にくっついてしまいます。これを付加といい、付加が繰り返し起こることで盛り上がって陸になります。こうして沖縄の基礎ができあがりました。 大石林山は2億5千万年前に海山の上に広がるサンゴ礁だったものが石灰岩となってプレートの動きとともに付加され、いまの場所に持ち上げられたものです。陸上に出てから亜熱帯の多量の雨で侵食され、さらに縦方向の割れ目が多かったので、鋭く溶け残ったピナクル群を特徴とする独特なカルスト地形になりました。北~東側の崖は地層の境界になっています。
「図|辺戸御嶽の地層」
大石林山から辺戸岬にかけての地層の様子。大石林山は、南側の断層で隔てられ、独立した岩山を形成しています。
(山下大輔ほか、2016年の図を改編)
大石林山北側の岸地形
博物館監修 大城逸朗
1942年台湾花蓮港で出生
金沢大学大学院修了、理学博士(地質・古生物学)
教諭、学芸員、研究主事、校長を歴任
現在北谷町、宜野湾市、浦添市、南城市、八重瀬町の文化財保護審議会委員